Yamakatsu's diary

男は黙ってカント

教養について

今日は教養について考える機会があったので、現時点で、私が教養について考えていることについて少し書き記す。といっても、そんなに深い考えがあるわけでない。私はある人から「マルクスを読んでいない人間は人間じゃない」と言われたことがあり、そのとき…

あなたは何を選びますか。

資本主義社会において計算可能性という意味での合理性を追求すれば、「おひとり様」暮らしが最適戦略である。なぜなら、自己は手放せないし、他者は他者であるがゆえに、思い通りにならないからだ。ゆえに、足枷の外された資本主義社会において「個人化」の…

大学について、認識について

国立大学は国家に忠実たらんとすべきである、という論理が仮に正当性を有するのであれば、具体的にはマルキストが大学の教員になれないのであれば、(別に私はマルキストではないが)大学はもはや「神学校」と呼ばれるべきだろう。事実、あるいは自然は無限…

丸山眞男生誕百年

最近、丸山眞男が読み返されている、そんな印象を受ける。生誕100年目であることも関係しているだろうが、安直な、責任感に欠けるナショナリズムに対する批判的意味合いが強いのではないだろうか。丸山眞男は戦前の安直な「近代の超克論」を批判し、日本は未…

いれたての珈琲カップの上に手のひらをかざし、蓋をすると、外に逃げようとする熱が水面と手のひらのあいだに溜まり、熱さが少しずつ、少しずつ、だが、確実に高まっていく。そして、いつしか蓋をしておけなくなるまでに熱くなり、コップから手を離さざるを…

丸山眞男を読む

丸山眞男セレクション (平凡社ライブラリー ま 18-1)作者: 丸山眞男,杉田敦出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/04/10メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 73回この商品を含むブログ (24件) を見る「日本軍国主義に終止符が打たれた八・一…

距離について

真摯に本を読むということ、あるいは真摯に話を聞くということは、取りも直さず、相手と自分との距離(差異)を確かめる、ということであって、決して相手の言い分を理解することではない。さて、私は西洋哲学において重要な著作を歴史順に読む会を主催して…

「鬼の子」の視点に立つことで倫理的な人間になった気になるのは愚かなことだと私は思いますが、みなさんはどう思いますか?

「しあわせ」をテーマに実施した「新聞広告クリエーティブコンテスト」の最優秀賞は「ぼくのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」というものだそう。ある人にとっての善は、他の人にとっては悪かもしれない。誰かの願いが叶うころ、あの子は泣…

書評

倫理21 (平凡社ライブラリー)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2003/06メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 22回この商品を含むブログ (36件) を見るやれ自分がこんななのは親のせいだ、やれ貧乏な家に生まれたから自分はこんななんだ、といっ…

今、思想は可能か。

という問いを友人から投げかけられた。私が如何に声を振り絞り、真摯に語ったとしても、思想そのものに影響力がないのだとすれば、私の声は他者に届かないのではないか。端的に言えば、私の発言には価値がないのではないか、という不安。複製が容易になった…

「気持ち悪さ」と「納得」

この社会で認められる、あるいは生きていくためにすべきこと、する必要があることはそんなに多くない。例えば、就活、たとえば、結婚、たとえば、google を使いこなすことなどなど。 そういったすべきことの中にも、感覚的に、あるいは生理的に、「気持ち悪…

先祖について

こういうのをカルチャーショックというのだろうか。 仲の良いとある友人の家には、なんと仏壇がない。そして、彼が住む新興住宅街のどの家にも仏壇がない。さらに驚くべきことに、この事実は決して驚くべきことでなく「一般的な」ことらしい。 私は今まで、…

作品を通したコミュニケーション

京大経済学部、経済&経営学科を卒業し、人間環境学研究科、つまり総合人間学部の大学院へ進学してみて一番驚いたのは、発表が Power Point 等を用いたプレゼンテーションでなく、文章、つまり自分の思考を物語にした作品で行われていることだ。 内容の伝わ…

社会に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ それも嫌ならっ・・・

「あなたは世界中で起こる何もかもがインチキに見えてるんでしょうね」―J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」 印象に残る文学、それは、自分の今までの人生があたかも主人公のそれであったかのように錯覚させるものだろう。そして、J.D.サリンジャ「ラ…

能産性への反抗

六月十日は時の記念日であった。時の記念日とは千九百二十年に制定された記念日であり、日本国民に「時間をきちんと守り、欧米並みに生活の改善・合理化を図ろう」と呼びかけ、時間の大切さを尊重する意識を広めるために設けられた、そうだ。(wikipediaより)…

人間の進歩について

「かつてヨーロッパにおいてペストが流行したことが何度かある。そのたびにそれはユダヤ人が広めたといった説明がなされた。現在はペスト菌をもったネズミが存在することが知られている。そして、ノミがそのネズミの血を吸った際、一緒にペスト菌も吸い込み…

「偶有性」-「必然性」

偶有性(他でもありえたこと)と必然性(それ以外にはありえないこと)を両極に定位すると、蓋然性(ありそうである)は概ねその中間に存する。この「偶有性」-「必然性」という二つの概念をもってして現実を照射すると、複雑な現象も見え易くなるように思われ…

生臭ビジネス

「生臭坊主。」 先週執り行なわれた祖父、祖母の法事に現れた坊主を形容するのにこれ程適切な言葉はない。坊主でありながら老人ホームの経営をする彼は、高級車から降り、家にあがってすぐ、「この座布団では腰が痛い」と文句をつけ、扇子を放り投げお経を読…

旧劇場版と新劇場版で本質的に何が異なるのか。

庵野秀明さんはなぜ新世紀エヴァンゲリオン新劇場版を製作せねばならなかったか。私は序、破、Qを観るたび、このひっかかりを覚えた。だが、最近その問に一定の答えを見出すことができたため、幾ばくかの考察を記す。 旧劇場版と新劇場版の明白な差異は、 旧…

滅亡について

AKIRA、新世紀エヴァンゲリオン、マクロスフロンティア、NARUTO・・・。これらアニメの共通点はなんだろうか。それは、滅亡、あるいは他者が存在しない世界がある種「理想」として描き出されている点だ。(物語の最後には主人公が勝利し、滅亡は阻止されるのがほ…

研究者

教授の研究室に行く機会があったため、ついでに、二年間どのように大学と付き合い、どう研究するのがいいか、という話をした。彼は私に次のように言った。 「二年間で出来ることなんで高々知れている。教授に劣らぬ研究をするには、君が興味を持つ対象と君が…

大学院で研究することになりました。

四月から京都大学総合人間学部人間環境学研究科の院生として宗教学、宗教社会学の研究をすることとなりました。京都にお住まいのみなさん、これからもどうぞ宜しくお願いします。直接会った際、報告しようと考えていたのですが、報告した数人から回りまわっ…

共和主義と科学について

ジニ係数という分析概念をご存知だろうか。これは、所得分配の不平等さを測定する指標だ。係数の範囲は〇〜一であり、〇に近いほど格差が少ない。教科書等では一般に〇に近い国が評価される。この分析概念はぶっちゃけるとキモチワルイ。なぜか。ジニ係数を…

私はなぜ就活に失敗したのかについて

私はなぜ就活に失敗したのか、冷静に振り返ってみる。このブログにたどり着いた稀有な人は、こういう人間が就活に失敗するのか、ふむふむ、と参考にしていただけたら幸いである。 私は、多くの就活生と同様、夏休み前、インターンシップに参加するためのエン…

自己紹介と決定不可能性について

昨年の十月頃、ナンパを生業とする友人が自己紹介で何を話すべきか分からなくなったのでそのことについて話をしたい、と言うので、所属集団で人を忖度すること、されることが大嫌いな友人等と軽い座談会をした。 先日、そのナンパを生業とする友人と私と初め…